北の新型兵器には韓国の技術が隠れている K(慰安婦関連)慰安婦団体疑惑、文氏に問いたい 龍谷大学教授・李相哲
2020.5.20
“正義”の味方を自任してきた韓国の慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(通称・正義連、旧韓国挺身隊問題対策協議会)の恥ずべき姿が暴かれようとしている。事の発端は、去る7日、元慰安婦のシンボル的な存在の李容洙(イ・ヨンス)氏(91)が記者会見を開き、「正義連」と尹美香(ユン・ミヒャン)元代表を痛烈に批判したのが契機だ。
≪「30年も正義連に騙された」≫
李氏は「30年間正義連に騙(だま)され、利用された。正義連は国民から集めた寄付金をハルモニ(元慰安婦のおばあさん)たちのために使ったことなどない。これから水曜集会(ソウルの日本大使館前で毎週水曜日に開催される集会)には出ない。集会は学生らに憎悪や傷だけを教えた」と話した。李氏は、尹氏が2015年12月の日韓慰安婦合意内容を事前に知っていながら自分たちには教えず、政府との接触も阻んだとも語った。
李氏といえば、17年11月、文在寅大統領主催の晩餐(ばんさん)会で、国賓として訪韓したトランプ米大統領に抱きついたことで日本にも広く知られたハルモニだ。文氏は大統領就任後、18年の正月に李氏や尹氏を大統領府に招き「前政府(朴槿恵政権)の合意は真実と正義の原則に反する。前政府はハルモニたちの意見を聞かずに一方的に(合意を)推進した」などと語った。その後、文氏は「合意を破棄するとか再協議を要求するものではない」と発言したものの、日本の拠出金でつくった「和解・癒やし財団」を解体した。
その過程に正義連の活動がどのような影響を及ぼしたかは知らされていないが李氏によれば「(正義連は)ハルモニたちが支援金を受け取るのを阻んだ」という。
≪誰のための募金だったか≫
正義連が韓国国税庁に示した資料によれば、16年から19年まで集めた募金は49億2千万ウォンだったが、支援金を払うことにはかなり消極的だったようだ。19年の場合、寄付金は8億2500万ウォンあったが、その中から23人のハルモニたちに渡した金額は1人当たり35万ウォンだ。一方の尹氏は正義連が持つ8つの口座や、3つの個人名義の口座を使い(違法の疑いがあるとされる)、寄付金を集めてきたという。
「和解・癒やし財団」からも正義連からも支援金を受け取れず、利用だけされることが嫌だったのだろうか。ソウルの公園の「記憶の場所」に設置された247人の元慰安婦名碑からノミで自分の名前を削り落としたハルモニもいたという(5月14日付『中央日報』)。
暴露を受け尹氏はフェイスブックに「ハルモニと電話で話をしたが記憶が間違っていることが分かった」と、李氏の記憶に問題があることをにおわせようとした。元慰安婦らの記憶に頼り、正義を唱えてきた尹氏がその記憶を否定するのであれば、正義連の活動そのものを否定することにもなる。
尹氏は、先月実施された総選挙で主要政党に対し「日韓慰安婦合意に基づいて日本が拠出した10億円を日本に返すべきか否かについて立場を問いただす」質問状を出すなど、日本に対する戦争責任追及の「正義」の使者の如くふるまい、国会議員にも当選した。
尹氏は疑惑報道について「親日勢力の不当な攻撃が強くなればなるほど私尹美香の平和、人権への決議は強くなるだけだ」などと、正義の戦いに挑む自分への弾圧だと強弁。また「昨年夏以来6カ月もの間、家族までが世間の批判にさらされた●国(チョ・グク)前法務長官を思いだす」と同情を買おうとした。
≪疑惑追及に「親日」レッテル≫
しかし、尹氏の反応より驚くのは今回の騒動に対する韓国社会の反応だ。5月14日、与党「共に民主党」議員ら16人は声明を発表、「(騒動は)親日、反人権、反平和勢力が歴史の真実を正す運動を貶(おとし)める攻勢にすぎない」と尹氏を擁護した。与党重鎮の金斗官(キム・ドゥグァン)議員は「一部のメディアと親日、反人権、反平和勢力が最後の攻勢を仕掛けている」と声を上げた。
このような論理的な飛躍は韓国の市民団体や運動家の多くが使う常套(じょうとう)手段でもあろう。自分に不正があったからではなく、反日という正義を貫こうとしたから攻撃されるという論理だ。韓国ではいまなお、日本の戦争犯罪や責任を追及する活動は聖なる領域とされ、それに関係ある団体、メディア、学者、個人を批判するのはタブー視され、それを破ると「親日」のレッテルが貼られる。
慰安婦関連団体と元慰安婦との非難合戦がどんな結末を迎えるかは日本にとっても気になるところだが、その前にまず文大統領に問うべきことがある。文氏は常々慰安婦問題や徴用工問題の解決は「被害者の同意が必要だ」(1月14日の記者会見)と言ってきたが「被害者」とは誰なのかだ。正義の美名の下、「反日」を標榜(ひょうぼう)して政府から補助金をもらい、寄付金を募り、それをもって生計をたて政界進出をはかる団体や個人がいるという実態を知らなかったというのか。このような団体を支持基盤にしてきた文氏は、この際、立場を表明すべきではないか。