秘密結社14 山林のケダモノよりも腐敗,頽廃~「秘密結社」の原理としての唯物主義の危険性歴史的文献探索@
『秘密結社』
明治33年(1900年)3月@
フランス哲学博士 リギヨル著@@
その14 秘密結社の原理(唯物主義の恐怖)@
唯物主義こそが,「秘密結社」の根本原理である。
唯物主義とは,人間を物質とみて,かつ人間という物質こそを絶対とし,その外にあるものによって規定することを一切認めない。人間という物質のほかに,別途神性(精神性)なるものを認めない。
人間という物体をして自らそのなすがまま,なるがままにするしかないことになる。ただ人間という物質の持つ最大効用を引き出すのみ。そこには善も悪も,道徳も正義もない。つまり,自らの性欲や貪欲,感情や欲望・情念・野望を,ただスーパーフリーに最大発現させることを是とし,これを制約するものは一切認めない。情欲を抑制し,邪な性癖を強制するべく神聖な道徳や誠実さを掲げてみても,ただ物笑いとなるだけ。
そうなると,結局,著しい道徳廃退を招き,かえって,山林の禽獣よりも,遙かに劣った存在に堕してしまう。