戦後間もない昭和二十三年に生まれた主人公(団塊の世代)を、『ちゃぶ台』とダブらせて昭和三十年代の復興期を、子供たちの遊びを中心に、また子供社会の営みや豊かさを求めて模索し始める親たちを描きながら、昭和三十九年の東京オリンピック開催頃から四十年代にかけて、大量生産・大量消費が美徳ともてはやされた高度成長の時代、単身赴任は当たり前、子ども部屋の個室化と共にやがて家庭内暴力そして校内暴力と子どもたちの心の問題が表面化、必死に豊かさを求めた結果、家庭内離婚も増え始め、夫婦の絆、親子の絆、家族の絆がだんだんと薄らいでいったのである。
食べ物を含めすべてのものが有り余る時代なのに、一般人の餓死者がでる時代。豊かさと幸せを求めていたはずが、すれ違いの生活からやがて離婚、その後縁あってバツイチ同士で再婚したが、幼少期に実の父親から性的虐待を受けていたことがトラウマとなって現れるようになり暴れだし、二人の間に生まれたかわいい子供を置いて、突然出て行ってしまった。主人公は還暦を迎えたのを機に、本当の幸せとは何か、しあわせのものさしを探し求めて人生の最終章を紡ぎだすために人生の旅に出たのだった。