0701ハーバード大学 白熱教室第7回 Part1 マイケル・サンデル第7回 「嘘をつかない練習」 Lecture13 「嘘」の教訓 カントの厳格な道徳性の理論は、どのような例外も許さない。彼は嘘をつくことは、たわいのない嘘であっても、自己の尊厳を損なうと信じていた。サンデル教授は、次の架空の状況を設定し、学生たちに投げかける。友達があなたの家に隠れていて、その友達を殺そうとしている人があなたの家の玄関にやって来た。友達はどこにいるのかと尋ねられたあなたは、嘘をつかずにどう切り抜けるのか。サンデル教授は学生たちの答えから、「誤解を招く真実」の議論へと展開する。「嘘をつくこと」と「嘘ではないが誤解を招く表現」には大きな隔たりがあると言うのだ。そして講義を、真実をごまかしたもっとも有名な例、クリントン大統領がモニカ・ルインスキーとの関係を説明したビデオ・クリップで締めくくる。 Lecture14 契約は契約だ 政治哲学を現代に復活させた、ジョン・ロールズの「正義論」を取り上げる。ロールズは「無知のヴェール」という概念を考え出した。それは、誰もお互いに年齢、性別、人種、知性、強さ、社会的地位、富、宗教、そして人生の目的さえも知らない、仮説的な原初状態である。その「無知のヴェール」の背後で交わされた合意こそが、正義の原則であるとロールズは言う。一体この「無知のヴェール」は現実世界においてどう考えればいいのだろうか。サンデル教授は、実際の契約が不公平な結果を生む、ユーモラスな例をいくつか挙げながら、公平な合意とは何かを議論していく。