0206ハーバード大学 白熱教室第2回 part6 マイケル・サンデル命に値段をつけられるのか Lecture3 ある企業のあやまち ベンサムの功利主義の中心となる考え方である「効用の最大化」、つまり最大の喜びをもたらすものこそ最善である、という論理をさらに具体的に考える。「すべての便益の合計から、代償を差し引いたとき、幸福が苦痛を上回るだろうか」というこの論理は、「費用便益分析」という名で、昔から企業や政府でよく使われてきた。サンデル教授は、事例をいくつか挙げる。政府がたばこの消費税率を上げようとした時、あるたばこ会社は費用便益分析を行い、「政府は、国民の喫煙によって得をする」という結論を出した。1970年代には、アメリカの自動車メーカーが、人の命に値段をつけて、リコール問題における費用便益分析を行った。多数派が残酷で、卑劣であっても、私たちは常に多数派の幸福をより重視すべきなのだろうか?すべての価値をお金のような共通の基準を用いて足し合わせ、比較することは可能なのだろうか? Lecture4 高級な「喜び」 低級な「喜び」 サンデル教授はもう一人の功利主義の哲学者、ジョン・スチュワート・ミルを紹介する。ミルは、道徳性の高さは効用の大きさで決まると考え、「望ましいものとは、実際に人が望むものである」と述べた。さらに、功利主義が高級な喜びと低級な喜びを区別することが可能だと論じている。区別する方法とは、両方を経験した人が選ぶほうが、より好ましい喜びだ、というのだ。その実証のため、サンデル教授は学生たちにシェイクスピアと、人気のアニメやTV番組を比較させる。さて、高級な喜びに選ばれたのは・・・?