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愛知県名古屋市の藤前干潟はラムサール条約湿地です。2015年8月1日、名古屋市港保健所主催の講演会と観察会に参加しました。カニの行動の研究で知られる奈良女子大学の和田恵次教授の解説を聞きながら、チゴガニやコメツキガニの行動を観察しました。音楽はフリーBGM DOVA-SYNDROME より使用しました。

熊本県　荒尾干潟にて 2014年8月8日

カニやエビのゾエア幼生は、正の走光性をもっていることが 知られています。 チゴガニがゾエア幼生を放出したので、走光性によって どの程度のスピードで移動するのか一眼デジカメの動画機能で 撮影してみました。 はじめに、画面の右側から光を当てています。 途中でスイッチを切り、こんどは左側から当てました。 最後に、LEDの懐中電灯で画面の下側から当てています。 いずれも、個体によってスピードの差はありますが、 強い正の走光性が確認できました。

抱卵していたチゴガニをエアレーションした水槽に 入れておいたら、翌朝たくさんの小さな点がうごめいて いました。 ゾエア幼生と呼ばれるものです。 頭や頬、口の部分に巨大な突起をもっているので、 運悪くこれが他の個体に突き刺さった場面も最初の あたりで出てきます。 このプランクトン生活のあと、干潟に定着して稚ガニに なります。

チゴガニのオスたちがはさみを振り始めました。 その傍らでメスたちはせっせと餌を食べ栄養を蓄えています。 白く大きいはさみを持ったのがオス、褐色の小さいはさみを もったのはメスです。

繁殖期のチゴガニのオスは、両方のハサミ脚を一斉に振り上げ、 メスを誘います。

繁殖期になると、巣穴の泥を外に持ち出したり、泥の表面のエサを食べたりしているときも、ハサミが自然に上がります。ちょうどシャックリがとまらないような感じです。 エサを食べ終えたら、本気で求愛ダンスが始まりました。

コメツキガニは、口に入れた砂をそしゃくしたあと食べかすを 口の上の方に集めてはき出しますが、チゴガニは、口の下の方に はき出すことがわかります。 いずれのカニも、ハサミ脚で口から食べかす切り取り、ひとつ ひとつ地面に置いていきます。 ですから、巣穴のまわりは砂だんごだらけです。

チゴガニがいっせいにはさみを上げ下げしています。 このはさみ振り（ウエービング）は、オスがメスを求愛するしぐさといわれています。 リズムがそろっていて、ダンスパーティーのようですね。 チゴガニは東京湾以南の干潟で、泥混じりの砂のところに生息しています。 そっと近づかないと、巣穴に入り込んでしまいます。