池袋高齢ドライバー事故 87歳運転手に何が!!2019年(平成31年)4月19日12時25分頃
東京都豊島区東池袋の東京メトロ東池袋駅付近の交差点において通商産業省(現経済産業省)の元職員で無職の男性(当時87歳)が運転していた乗用車が暴走して多重衝突事故を惹起。乗用車は赤信号を無視して交差点内の横断歩道に突っ込むなどして2人(母子)が死亡し、乗用車を運転していた男性を含む10人が負傷した。
車を運転していた男性は赤信号を2回無視しており、ブレーキをかけた形跡もないことがドライブレコーダーの記録から判明している。男性は事故直後に息子に電話をかけ「アクセルが戻らなくなり、人をひいた」と説明した。一方、警視庁は調査の結果、車に不具合は見つからずエアバッグは正常に作動していたとする。当初は男性とその同乗者(1人)を含む負傷者8人・死者2人と報道されていたが、24日になって警視庁は新たに別の母娘が軽傷を負っていた事実が判明したことを明らかにした。そのため、運転者男性を含めて死傷者は計12人となった。死亡した2人の告別式は2019年4月24日に開かれた。
事故当時の様子
加害者が運転していた自動車のドライブレコーダーには、事故前後の様子が録画されていた。警視庁によると事故現場付近の左カーブの辺りで加害者の妻が「危ないよ、どうしたの」と声をあげ、加害者は「あー、どうしたんだろう」と応じた直後に車道左側、金属製の柵、縁石に衝突。周辺の防犯カメラの映像によると、そのままパニックとなって時速100km/h近い高速で交差点に進入。ごみ清掃車両と衝突し横転させて、回転。交差点周囲の多数の自転車、歩行者などを巻き込んだと見られる。
本事故については、警察が運転者を現行犯逮捕しなかったことや、報道が「容疑者」ではなく敬称や肩書きで呼称したことについて、警察やメディアが特別扱いしているのではないかと批判の声があがったことが報じられている。
運転者が元官僚だったことから、インターネットでは本事故を起こした男性について「"上級国民"だから逮捕されないのか」との書き込みが相次ぎ、拡散されているという。また、同月21日に神戸市で発生した神戸市営バスによる交通死亡事故で、運転者が現行犯逮捕された事例ともネット上では対比されていることも報じられている。捜査関係者は「逮捕しないのは、事故を起こした人物も負傷して入院しており刑事訴訟規則が要請する『逃亡や証拠隠滅の恐れがある場合』との逮捕の要件を満たさないため」であり「元官僚だったというのは事故発生からしばらくたった後に判明したことで、ネット上の批判は当たらない」と説明している。報道時の呼称については、肩書きで報じた朝日は「社会的影響力のある公職に就いていたことを伝えるため」、西日本新聞は「逮捕前は敬称や肩書を付けるという明確なルール」によると答えた。
このような議論が生じたことについて、慶應義塾大学教授の大石裕は「男性が元官僚であったため、警察やマスコミなどがかばい合っているという見方へと発展し、批判が大きくなったのではないか」と述べた。