23 甲賀忍法帖
下弦(かげん)の月が 朧(おぼろ)に揺れる 夜を包 む叢雲(むらくも) 磔(はりつけ)られた 番(つが)う雛(ひいな) 絡める 非情の罠
嗚呼(ああ) 今も燻(くす)ぶ 想い胸に聢(しか)と 宿らば(殲(せん))
水の様に優しく花の様に劇(はげ)しく 震える刃(やいば)で 貫いて 宿命(さだめ)られた 涙を瞳の奥閉じても 貴方(あなた)を 瞼(まぶた)が 憶えているの
無明(むみょう)の淵で 終焉(おわり)を待つ 私は 噎(むせ)ぶ身無(みな)し児(ご) 蹂(ふ)み躙(にじ)られた 尽(すが)る恋を 両手に 包んだ儘(まま)
もう諍(あらが)えない 共に辿る釁(ちぬ)りの黄 泉路(みち)を (殲)
水の様に優しく花の様に劇(はげ)しく 震える刃(やいば)で 貫いて 宿命(さだめ)られた 涙を瞳の奥閉じても 貴方(あなた)を 瞼(まぶた)が 憶えているの
水の様に優しく花の様に劇(はげ)しく 震える刃(やいば)で 貫いて 宿命(さだめ)られた 涙を瞳の奥閉じても 流れる血潮(ちしお) 止められない
蜜の様に零(こぼ)れて 徒(あだ)の様に散りゆく 儚(はかな)い 祈りを掻(か)き消して 宿命(さだめ)られた 二人を葵闇(あおいやみ)が 裂いても 貴方(あなた)と 揺蕩(たゆた)う 隠(かく)り世まで