放射能を無効化出来る?これは知っておきたい核変換技術とは…1988年、核変換によって放射性廃棄物を無害化する「群分離・消滅処理技術研究開発長期計画」、通称「オメガ計画」がスタートした。放射性物質だろうが何だろうが、原子核の周りを電子がまわるという原子の基本構造は変わらない。この原子核に強力な電子ビームや高エネルギーガンマ線を叩き込み、原子構造を変えて、毒性の低い別の物質にしてしまうのだ(ターゲットとなる核物質の種類により、使うビームの種類や反応経路は変わる)。核物質をすべて無害化できるわけではないし、基本的には半減期が何十万年という放射性物質を半減期が数百年程度の短い核物質に変えることが目的だが、白金などの安定化物質に変換できるものもある。これらは燃料電池車の触媒などに利用可能だ。核変換が実用化すれば、放射性廃棄物の量も保管期間も大幅に減ることになる。
群分離・消滅処理技術研究開発長期計画
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/old/backend/siryo/back21/sanko2.htm
オメガ計画(オメガけいかく、英: OMEGA project)
昭和63年度に取りまとめられた群分離・消滅処理技術研究開発長期計画の通称を言う。高レベル放射性廃棄物(使用済み核燃料の再処理廃液)を、そのままガラスで固化して地中に隔離するのではなく、四つの群に群分離した上で、有効利用または特定の設備で核変換をすることで減量化・低害化する技術の要素的な開発を目的とした計画である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%A1%E3%82%AC%E8%A8%88%E7%94%BB
石川 欽也 『ドキュメント 原子力政策−21世紀への道』 電力新報社、1987年。
石川 欽也 『原子力政策の検証とゆくえ』 電力新報社、1991年。
梅澤 弘一 (1989), “「OMEGA計画」の概要 新たな可能性を目指す群分離・消滅処理の研究開発”, 日本原子力学会誌
水本 元治, 江本 隆 (1994.6), “オメガ計画と加速器開発”, 科学技術ジャーナル 3 (6): pp.17-19
滝塚 貴和 (1995.9), “用語解説 オメガ計画”, 高圧ガス 32 (9): pp.780-781
日本原子力産業会議, ed. (1973), “核分裂生成物等総合対策懇談会報告--放射能クローズド・システムの構想”, 原子力資料 (63): 1-36
原子力百科事典 ATOMICA「オメガ計画」
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_07-02-01-07.html