たぶんもう君と --小説「二十歳の恋愛」挿入曲--小説「二十歳の恋愛」の挿入曲です。小説ページはこちらです。
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その頃いろいろなことがあって、
生まれ育ったその街を離れることを決めた。
**頃から毎日のように通った踏切から、
見上げた西の空に黄昏が始まっていた。
僕はそこで一度立ち止まって、夕焼けを見上げて、
やがて線路沿いの道を駅に向かって歩きだした時、
--その人が偶然そこに立っていた。
二人が別れてしまった理由がその頃は理解できずに、
今更どうすることもできないと知っていたから、
二言三言言葉を交わして、「じゃあ」って言って別れた。
ギターを抱えて、うつむくみたいにして歩き始めたら、
--たぶんこの先、もう一生会うことがないんだろう・・・
そんなことが突然頭をかすめて、
猛烈な切なさに襲われて思わず振り返ると、
---その人も振り返ってこっちを見ていた。
それがその人を見た本当に最後の姿だった。